2015年04月20日

PARASOPHIAの映画

ここのところ京都づいてます。

先週は旧友と会う為に(そのついでにPARASOPHIAの森村康昌の展示見る)。
週の始めには好きな作家(多和田葉子)の朗読&トークショーに。
そして昨日はPARASOPHIAの「アジアを照らさないミラーボール。日本映画のアジア」と題した上映を観に。

PARASOPHIAの参加作家に名を連ねる、この上映会を企画したアレクサンダー・ザルテンの「日本映画におけるアジア」に焦点を当て、1960年代から近年までの日本映画を中心に取り上げたラインナップの中の3本を続けて観ました。

1本目は初めて知った監督の自主フィルム「極東のマンション」(真利子哲也)。ごくごくプライベートな内容の映画とも言えない私的フィルム(あまりの単調さにか、映画館に激しいイビキの音が鳴り響きそのことに驚いた)。作者の独白で進められる。迷える子羊が映画作りという自分のなすべきことにたどり着くまでを、淡々と撮っているという感じかな。

次は、当時“マイトガイ”と呼ばれ絶大な人気を誇った小林旭主演の「波涛を越える渡り鳥」(1963年日活)。いやー、小林旭、目元涼しいイケメンですわ。今はかなりどっしりとした体型になられましたが、当時は適度にマッチョで相当おもてになったことでしょう。今で言うと岡田将生の甘い雰囲気と吉川晃司のシャープさを足して2で割った感じ?
相手役は浅丘ルリ子で、これまた可愛いらしい、キュートなお嬢さん!
そして宍戸錠もちょっとしょぼい出で立ちでしたが個性的な役どころでした。
いわゆる「渡り鳥シリーズ」第六作らしいです。60年代の日本映画をスクリーンで観るのは初めてでしたが、突っ込みどころ満載で面白かったです。ギター1本抱えて旅に出るってあんたマジでー!?です。タイが舞台とはいえ、拳銃をあないぶっ放せないでしょう、いくらなんでも…(笑)。でも何故か飽きることなく観ることが出来ました。ある意味新鮮だったのかも。
一見するとアクション映画なんですが、戦争で家族を失い死んだと思っていた兄を探しに海外へ飛び出すというストーリーで、“戦争”が出発点になっているところが、戦後まだ十数年しか経っていない当時を反映しているのかなと思いました。

3本目はドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」。在日二世の監督ヤン・ヨンヒの自分の家族の10年を記録した作品。三人の息子を北朝鮮へ送り住まわせた父の、北朝鮮に対する複雑な関係を理解しようと努めながら、娘として家族を撮っているその映像はなかなか奥深いものがあります。「在日」「北朝鮮」の現実について考えさせられる内容でもあります。父と娘が相容れない思想を持ちながらも、家族として認めあっているところに共感を覚えました。
日本国籍を持つ者には計り知れない苦悩があること。知っているようで知らないことだらけの歴史問題など、アジアに生きる者として、いろいろと勉強し直す必要があるなあと改めて思いました。
とはいえ、基本的には人間味溢れる父親と母親の言動がかなりユーモアがあり微笑ましいシーンや感極まるところもあり、在日家族が抱える問題だけではなく、純粋に親子の絆も描かれていて、見応えのあるドキュメンタリー映画に仕上がっていました。
この監督、「かぞくのくに」という作品では数々の賞を受賞しています(これはまだ観ていないけど)。

最後にアレクサンダー・ザルテンとヤン・ヨンヒ監督のトークショーがあり、興味深い話がたくさん聞けたことがオマケとして良かったです(ザルテンさんは日本語ペラペラでした)。ヤン・ヨンヒさんは同世代だし大阪出身という共通点もありお話もうまくて、とても親近感を覚えました。これからの作品が楽しみな人物になりました。

上映会は19日で終了しましたが、京都市美術館でのたくさんの展示をまだ見ていないので、会期が終わる5月10日までにあと一度は京都に行くつもりです。

PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭2015
2015年3月7日(土)〜5月10日(日)





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2014年02月21日

レディスデイに2本観ました。

2014年初めてのブログです(遅い!)。

ここ数年、映画館で映画を観るということをほとんどしていなかったので、今年はピンと来た映画はなるべく映画館に足を運んで観たいと思います。

今年に入ってからは、1月にポーランド映画を3本、2月にアメリカ映画を1本、そしてこの水曜日はカナダ/フランス、日本のドキュメンタリーを観ました。

十三のシアターセブンは初めて。
1本観たら帰るつもりが、昨年からロングランで上映している「祈り サムシンググレートとの対話」が気になってしまい、2本続けて観ることに。

わたしはロランス」(カナダ/フランス)は弱冠24歳の監督、グザヴィエ・ドランが描く斬新な愛の形を描いた物語。

カナダの田舎町に暮らす男性が交際中の女性に、女性になりたいと告白するラブ・ストーリー。
と書くと何のこっちゃ!てな感じですが、性同一性障害の男性が自分の生き方を見直し正直に生きようと決心した結果、それまでつき合っていた彼女をえらく傷つけてしまい、二人の関係がダメになるんだけどどちらも未練があってゴタゴタするラブストーリーと言った方が分かりやすいかも。

もしもつき合っている彼(または彼女)から突然、女(または男)として生きていきたいと告白され、そんな自分を受け入れてそのままつき合ってくれって言われたらどうする?
そういう二人の葛藤を劇的に描いているのがこの映画です。
いろんな愛の形があるからそういうのもありと思える私は変わり者かな。
性別を越えた愛に遭遇したことがないので実は何とも言えないというのが答えだけど、人間の愛って時に複雑で面倒くさいもの。
でも万が一そこまで貫ける愛に巡りあえただけでも、儲けものやん!って思う自分もいる。

物語は80年代の終わりから90年代にかけての時期なので、ファッションもとても象徴的に描かれていた。
特にヘアスタイルが秀逸!
ロランス(♂)のデビット・ボウイ風なメイクや、フレッド(♀)のシンディ・ローパー並みの赤毛の刈り上げ風ヘアスタイルに始まり、肩パッド入りまくりのジャケットやボディコン風なスーツなど、見ていてすごく懐かしかった〜。
24歳の監督にはもしかしてこの時代が眩しく写っているのでしょうかね。
音楽のチョイスもとてもセンス良かったです。クラシックからポップスまで、多彩な曲が場面を飾ります。

それぞれの葛藤を鮮やかな映像で描いていて、見ていて飽きなかった。
上映時間は3時間近くもあったけど、ずっと緩むことなく見られた。
場面の変わり方が予測できない展開でビジュアルも細部にこだわっていて美しかった。

何でもないカフェのシーンの窓ガラスのステンドグラスや、雪景色の青空からカラフルな洋服が降ってきたり、そうかと思うとリビングにいきなり天井から水がドバーッと降ってくる場面があったり。
登場人物の心模様をありえないビジュアルでうまく表しているところがとても良かった。
ファンタジーとも言えるようなシーンでもすんなり受け入れることが出来たのもストーリー展開にどっぷり浸かれたからだと思う。
物語の始まりから10 年後、作家になったロランスが取材に答えて、フレッドとのことを回想する形で物語は進む。
だから幻想的な描写も記憶の中のことであれば納得できる。
この手法は監督としても相当な力量が必要だよなー。

愛し合う者たちの前に立ちはだかる高い壁。それは世間の目であり、偏見であり、自分自身の本当の気持ちであるのかもしれない。
他者への愛と自分自身が望む愛、どちらも損なわずに生きていくことは果たして可能なのか。
特殊な境遇の2人の男女の話と映るかもしれないが、色めがねをかけずに物語に浸れば、心揺さぶる極上のラブストーリーが味わえると思います。

最後の方でロランスが言った言葉がとても心に残ります。
「自信はないけど覚悟はあるわ」


祈り サムシンググレートとの対話

祈りの研究がいのちの絆と繋がっていく!というフレーズにまず興味を持った。
ちょうどいつも読んでいるメルマガに似たような内容の文章があり、余計そそられたのかもしれません。
でもまったく観る予定ではなかったのにも関わらず結局観ることになったという偶然が必然のように思えて仕方ありません。

筑波大学名誉教授、村上和雄博士の説によると、心の働きが遺伝子に影響を与えることが分かり始めているらしい。
その他いろんな博士やジャーナリストが登場し、「祈り」を含めた意識研究の最先端を明らかにしていくその模様がドキュメンタリーとして描かれる。
間に回想ドラマも挿入され、村上博士の研究を具体的に表している。

昨今、「笑い」がガン細胞を減らしたとか、病気の数値をどうも下げる役目を果たしているらしいという話を聞くことが多いが、この21世紀へ来てようやく科学的にも証明され始めている。
以前はオカルト的なこととして括られていたことが、今や学者たちによって次々と明らかにされつつある現実。
にわかには信じがたいことではあるが、自分の中ではそろそろ信じるに値することだと思い始めてもいる。
自分の心のありよう、すなわち思考の仕方によって現象が変わるということ。
そのことをうすうす感じていながらこれまで幾度も無意識に否定して生きてきたんだな。
「私には無理」「そんなことあり得ない」「願っても時間の無駄」etc…。
いくつの否定的言語が自分の脳を占めていたことか。
それらを全部うっちゃってすべて肯定していたとしたら今頃どんな人生を歩んでいたのか…。

「不安や恐れは成長を止める」ということを言っていたがよく分かる気がする。
不安なく心を開いている状態の時、細胞は成長するという。
けれども不安や恐れを抱くと細胞も縮こまってしまい、細胞の成長を止めてしまう。
成長と防御の体勢を同時にとることは出来ない。
私は今までどれほど防御にまわっていたことか…。
守ることに必死になって成長を止めてしまっていた局面が多々あったと思う。
過去のことは過去として、これからは意識して無駄に恐れたり不安になったりしないように心がけようと思った。

また。「祈る」は「意に乗る」とも言えるのだと映画の関係者は語っていた。
この言葉もとても印象に残った。
人の意に乗るということ、すなわち人のために祈ることの方が大きな力を生むのだろう。
自分が自分が、の願いばかりでは祈りは通じないのでしょうね。

世界の各地でそうした祈りの実験が大掛かりに行われていることも知らずにいた。
植物の種の成長を祈りによって早めたり、遠隔地でも同時に多人数で祈りをするとより治癒が進む傾向があるとか、世の中では着々と実証されつつあるということ。
知らなかったことを知れたというだけでもこの映画を見た甲斐があったと思う。

村上博士が子供の時に祖母から教えられた「天に貯金をする」という考えも素晴らしいと思った。
自分はこの年になってどれだけ天に貯金が出来ているのか…。それを考えるとまだまだだなあと痛感した。

日本古来の「いただきます」「もったいない」「有り難う」という言葉にも大きなメッセージが含まれていること。
そのことにもっと目を向けるべきだとつくづく思えた。

映画自体はNHKのスペシャル番組なんかで広く放映して欲しい内容だと思った。
これまでの常識を覆すためにも高齢の方にも見て欲しいし、これから次世代を担う子供や若者にも見て欲しいと思った。

一度村上博士の著書も読んでみようと思う。




posted by lusikka at 02:36| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月04日

「歩いても 歩いても」

先日久しぶりに映画館で映画を観た。
是枝監督の「歩いても 歩いても」。

どこにでもありそうな家族の夏の1日を、丁寧に描いた秀作。
主演の阿部寛、母親役の樹木希林の演技が特に素晴らしかった。
開業医をしていた昭和ひとけた生まれとおぼしき父親役の原田芳雄が実に愛すべき頑固親父を演じている。
また長女役のYOUはすっとぼけた意地悪なのか優しいのか分からない、ちゃっかり娘をきっちり演じていて、かなり好感が持てた。

長男の事故死から15年、毎年命日に集まって供養をしているのだろう。
とっくに大人になった娘、息子が、それぞれの家族を伴い、実家に帰ってくるのである。
老夫婦二人になった家がその日だけ賑やかになる。

冒頭の料理シーンがとても印象的だった。
茗荷を刻むさまとその小気味よい音。
亡くなった長男の好物だというとうもろこしの素揚げの油のはねる音。
昭和に建ったであろう古い日本家屋の台所が
これ以上ないほど素敵な場所に見えてくる。

そこで交わされる母娘の会話。
他愛もないご近所の噂や、次男が連れてくる嫁の話。
「口ばっかり動かさないで手を動かしなさい」
普遍的とも思われる母親らしい言葉の数々。
そうそう、こんな感じ。

この映画ではいくつもそういう場面に遭遇した。
くすっと笑ってしまうシーンも随所に散りばめられている。

自分の家族とだぶって見えるというか、
ほとんど同じ年頃の親なので自然とそうなっても仕方がない。

長い階段を二人でせっせと登っていく後ろ姿などは、
思わず涙が出そうになった。
私も、実家で夏の暑い日のお墓参りの時、両親の後ろ姿に
「老い」をまざまざと見せつけられた記憶が甦る。

「人生はいつもちょっとだけ間に合わない」
阿部寛が痛感することなのだが、案外人生においての真理なのかもしれない。

親子って家族ってとってもいいもの、
その反面とっても面倒なもの。
それでも脈々と続いていくもの。

この映画に出てくる丘の上から下へと続く長い階段が
何だか人生を表しているようで切ない。

子供たちが拾ってくるサルスベリの美しい桃色が
夏の光に映えて、はかないものを感じた。

映像としても美しく、心に沁み入る映画だった。

タイトルの「歩いても 歩いても」は昭和に大ヒットしたいしだあゆみのそれである。
このタイトルの付け方もニクい限りである。
この唄にまつわるエピソード、それは映画を観てからのお楽しみ。

映画を観終わったあと、夜の街灯りを見ながら、
「歩いても 歩いても〜♪」と鼻歌まじりになってしまったのは私だけではないはず…。
posted by lusikka at 11:17| 大阪 | Comment(5) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする